資本主義の強固な構造と個人の生存戦略を解体する哲学コラム。カミュ、バタイユ、ボードリヤールなどの様々な思想をベースに、他者に裁量権を握らせない『主人間』としての具体的な生き方を徹底的に解剖します。
哲学コラム連載『存在論的コンフリクトの発散』システムと個人はどう折り合いをつけるのか〜 #26「夢を叶えたのに虚しい人」の心理学――ショーペンハウアーが暴いた幸福のカラクリ
世間一般の幸福の脆弱性これに関しては先人の言葉が頼りになる。ショーペンハウアーは人生は苦痛と退屈の振り子であると述べた。世間一般の幸福は安定した生活に安定した人間関係に安定したキャリアから安定した老後、そして奢侈ができれば好ましいといった感...
哲学コラム連載『存在論的コンフリクトの発散』システムと個人はどう折り合いをつけるのか〜 #25「傷つかない保険」をかけた瞬間、恋愛は死滅する――冷笑主義の自己欺瞞が奪う不可逆な生の燃焼
主人間におけるマクガフィンそれは恋人でありパートナーのことである。血も涙もない身もふたもない話だが、この世界には運命の人という言葉の運命そのものが、主人間の懐の中にあるため存在しない。神が決めるのではなく主人間自身が決めるのである。そのため...
哲学コラム連載『存在論的コンフリクトの発散』システムと個人はどう折り合いをつけるのか〜 #24「一途な依存」を見せた瞬間、あなたはあぐらをかかれる――パワーバランスの崩壊が招く不可逆な関係の死
愛への隷属の本質愛への隷属には二つの種類があり、一つは受動的で一方的な隷属、もう一つは能動的でインタラクティブな隷属である。前者は相手以外に誰もいないという交換不可能性の一点に全てをベットして、相手以外にいないからその人にかけるという消極的...
哲学コラム連載『存在論的コンフリクトの発散』システムと個人はどう折り合いをつけるのか〜 #23「傷つくのが怖い人」が失っている本当の生きがい――人間関係のカオスに飛び込む技術
脆弱性は主人間の生の明証性主人間はn=1の他者に対しては丸腰である。そしてn=1の他者に徹底的に振り回されて叩きのめされ、失意のどん底に落とされる、それが自分と距離の近い他者、恋人や配偶者といった存在ほど顕著になる。そもそも恋愛関係にある両...
哲学コラム連載『存在論的コンフリクトの発散』システムと個人はどう折り合いをつけるのか〜 #22 n=1の贈与経済とストア的アパテイア――代替可能性の欠如がもたらす「本来的親密性のアンビバレンス」
n=1の贈与これはたった一人の親しい人や大切な人に対しての等価交換から外れた無償の贈与である。見返りを求めずに相手に与えることは等価交換で成り立っている経済への根本からのアンチテーゼとなり、それが伝播していけばやがて大きな経済圏となる。それ...
哲学コラム連載『存在論的コンフリクトの発散』システムと個人はどう折り合いをつけるのか〜 #21-主人間構想-「システムに検知されない4つの公理」――なぜ『主人間』は、高級車と管理職の席を捨てて愛と遊びに身を投じるのか?
第4章 主人間の公理これは自分の命や家族の命を企業に預けない実人間、没人間と並ぶ第3の道である。主人間とは計量・交換・保存・予測が不可能な客体、つまりn=1の贈与と内的充足行動に志向性を持った、達成動機をこの4要素に依拠しない人間のことを指...
哲学コラム連載『存在論的コンフリクトの発散』システムと個人はどう折り合いをつけるのか〜 #20「牙を抜かれた虎の家庭」――なぜ職場最悪の嫌われ者にも、帰りを待つ家族が存在するのか?
没人間は愚かでも醜悪でもない、牙を抜かれた悲しき虎だここまで没人間の製造ダイナミクスを見てきてお分かりいただけたと思う。没人間も最初は赤子の段階という牙を持った虎として草原を闊歩して自らのやりたいことを目指して進んでいた時期がある。だが国家...
哲学コラム連載『存在論的コンフリクトの発散』システムと個人はどう折り合いをつけるのか〜 #19「仕事終わりにスマホを見るだけの人」の危険な末路――会社に生活を人質に取られないための生存戦略
人質にされた貨幣そして社会に出て働くようになってからは没人間製造ラインの最終ラインとなる会社が待っている。そもそも学校は会社の縮図であり、忠実な縮小模型なのである。ここで身体の時間拘束、精神の侵襲による記号への盲目的な意思を受けつけることに...
哲学コラム連載『存在論的コンフリクトの発散』システムと個人はどう折り合いをつけるのか〜 #18 エリクソン的児童期とオペラント調教――ゴフマンのアイデンティティ剥奪が完成させる「没人間OS」
第II部:裏切られた知性 — 限定経済の重力第3章 大人とは、裏切られた青年の姿である。これは太宰治の言葉だ。まとをいている。段階別の隷属化階層を述べたように、最初は皆赤子、または実人間であった。しかしシステムの権力は、賢者でさえも飲み込ん...
哲学コラム連載『存在論的コンフリクトの発散』システムと個人はどう折り合いをつけるのか〜 #17「他人のために頑張るほど心が壊れる人」へ――数字の奴隷から抜け出す「たった1人へのプレゼント」
飛翔の揚力かくいう私も記号的生産の毒に完全に侵されていた時期が昔あった、それをきっかけに大学の専攻も決めた上で経営学を学んだ。その時は確実に没人間であった。同時期に趣味である作曲も始めた頃だった。その時には売れることばかり考えていて、売れる...