#13「資本主義のファウスト」――なぜ上層1%の『実人間』は、貨幣という悪魔に魂を売って本来的創造を買い戻すのか?

哲学コラム連載『存在論的コンフリクトの発散』システムと個人はどう折り合いをつけるのか〜

第1段階:上層ー実人間

ここの階層の人間は記号的生産に一歩引いた視点で俯瞰することができ、それをうまく利用して本来的創造や内的充足行動の踏み台として記号的生産をハックしている。こうした人間は実人間と呼ぶ。

実人間はシステムへの完全なる逃避は、記号的生産が世界を支配してしまった現状を鑑みて不可能だと現実視しており、その上でどうやってシステムとの距離感を掴むことで、本来的創造、内的充足行動と記号的生産に自分という経由地を置いて、記号的生産で起きた火事の延焼を自分という経由地で食い止めている。

勘違いしないでいただきたいのが、実人間は記号的生産から完全に離れられたわけではないということだ。そもそも現代人は記号的生産から完全に自分を隔離することはできない。なぜなら現代の血液であり、半分私たちの血液である貨幣は交換可能で計量可能な性質を持つ。

つまり記号的生産の主権者だからである。その社会の血液であり記号的生産の主権者である貨幣と、現代人を隔離するにはもはや自給自足や無人島暮らししかあり得ない。そのため実人間は記号的生産という悪魔に魂を売ることによって本来的創造と内的充足行動を持続可能なものにしているファウストと言ってもいいだろう。

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