#12 楽園追放と異形化のプロローグ

哲学コラム連載『存在論的コンフリクトの発散』システムと個人はどう折り合いをつけるのか〜

第二章:陽に曝された真実-没人間の解剖学

これらの計測可能で交換可能なスケールで測られる記号的生産の世界への過剰適応によってアイデンティティが変容してしまった人間は大勢いる。

記号的生産を絶えず求められる世界でその生産によって得たものを幸福と勘違いしている人のほとんどは異形化が始まっているとも言える。

この世界への過剰適応はアイデンティティの汚染と等式で結ぶことができる。そしてその適応度合いによって汚染の階層が決まって、最下層はもはや完全に異形化してしまった人間、没人間になってしまう。

第1章ではマクロ的な視点で社会を解剖してきたが、この章ではミクロの視点でそうした社会に生きている人間の異形化について論じたい。

第0段階:地上ー赤子

ここは学生や未就学児、赤子のような自分で自分を養っていく必要のない、他者の慈悲に縋るだけで生きていける人生の段階である。

ここでは本来的創造や自己充足行動を記号的生産化の息がかかっていない純粋な気持ちで行うことができる。

しかし大人になってからのこの段階への移行は無人島生活やスマホを捨てて自給自足でもしない限りは不可能であろう。それに文明を捨てたら今度はマズローの下位階層の欲求を満たすことが主要命題となるため、むしろ自分の主権が脅かされる事態となるため、現実的な解決策にはならない。

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